ゾーン2ランニング:心拍数・ペースと自分のゾーンの出し方
ゾーン2ランニングとは、最大心拍数の60〜70%で走るゆっくりしたランニングです。30歳なら最大心拍数から計算して約112〜131拍/分、安静時心拍数60でカルボーネン法を使うと136〜149拍/分になります。走りながら会話ができるかどうかが、簡単な目安です。
多くのランニングウォッチは心拍を5つのゾーンに分けています。軽いウォーミングアップから全力までのうち、ゾーン2はいちばん地味なゾーンですが、鍛えたランナーの多くが最も長い時間を過ごすゾーンでもあります。ここでは、ゾーン2の心拍数、自分に合わせた計算方法、そしてこのゾーンで走るとペースが遅く感じる理由をまとめます。
年齢別のゾーン2心拍数
表の最大心拍数は田中の式(208 − 0.7 × 年齢)で推定しています。ゾーン2の1列目は最大心拍数に対する割合で、安静時心拍数がわからないときに使います。2列目は安静時心拍数60のカルボーネン法で、自分の安静時心拍数を計算に入れるぶん数値が高くなります。
| 年齢 | 最大心拍数 | ゾーン2(最大の%) | ゾーン2(カルボーネン、安静時60) |
|---|---|---|---|
| 20 | 194 | 116〜136 | 140〜154 |
| 30 | 187 | 112〜131 | 136〜149 |
| 40 | 180 | 108〜126 | 132〜144 |
| 50 | 173 | 104〜121 | 128〜139 |
| 60 | 166 | 100〜116 | 124〜134 |
| 70 | 159 | 95〜111 | 119〜129 |
個人差があり、最大心拍数の式は上下に10拍ほどずれることがあります。テストやレースのラストスパートで実際の最大心拍数がわかっているなら、その値で計算してください。
ゾーン2の心拍数の計算方法
- 最大心拍数を調べる。テストやレース終盤の全力走がいちばん正確です。データがなければ田中の式で構いません。
- 安静時心拍数を、朝、横になったまま目覚めてすぐに数日間測り、平均をとる。
- 心拍予備量を出す:最大心拍数 − 安静時心拍数。30歳で安静時60なら 187 − 60 = 127。
- カルボーネン法のゾーン2は、安静時 + 予備量の60%から、安静時 + 予備量の70%まで。例では 60 + 76 = 136、60 + 89 = 149。
なぜゾーン2が注目されているのか
ゾーン2ブームのもとは、トップレベルの持久系アスリートの研究です。シュテッグルとシュペルリッヒの総説(2015年)は、スティーブン・セイラーらのデータをまとめています。エリートのランナー、スキー選手、ボート選手、自転車選手は、練習時間の約80%を低強度で、約20%だけを高強度で行っています。
同じ総説には注意書きもあります。これは主にエリートの練習の記録であり、強度の配分を比べた対照実験は数が少なく、規模も小さいということです。「8割はゆっくり走る」は妥当な目安ですが、週3回走る市民ランナーにとって証明済みの処方ではありません。
心拍計なしでゾーン2を確かめる方法
手首の光学式センサーは、走り始めの数分やインターバル中にずれることがよくあります。電子機器がいらないのが会話テストです。パーシンジャー、フォスターらの研究(2004年)では、トレッドミルとエアロバイクで負荷を上げながら決まった文章を読み上げてもらいました。話すのが楽でなくなった時点では、いつも換気性閾値を超えていました。
ゾーン2でいえば、息継ぎで止まらずに何文か話せるなら閾値より下です。文を細切れにしないと話せないなら、時計がゾーン2を示していてもペースを落としましょう。
ゾーン2のペースが遅く感じる理由
- 心拍が上がっていく。 長く走ると、体温の上昇や水分の減少で、同じペースでも心拍が上がります。ゾーン内にとどまるには、後半でペースを落とす必要があります。
- 上り坂と暑さ。 上りや暑い日は、同じペースでも心拍が高くなります。急な上りで歩くのは問題ありません。
- 式が最大心拍数を低く見積もっている。 実際の最大心拍数が推定より高ければ、式で出したゾーンは本来より低くなります。テストで解決できます。
ゾーン2で走るペースを知りたいなら、ゾーン2でのゆっくりランを何回か計測し、ペース計算機で換算してください。持久力の変化は、レース結果からVO₂max計算機で確かめられます。
3ゾーンモデルと5ゾーンモデルのゾーン2
研究では、2つの閾値で強度を3つに分けることがよくあります。第1閾値より下、2つの閾値の間、第2閾値より上です。この分け方では、ゆっくりランはゾーン1にあたります。ウォッチやアプリの5ゾーンモデルは同じ範囲をもっと細かく分けており、そのゾーン2は3ゾーンモデルの低強度ゾーンの上のほうに入ります。エリートの研究でいう「ゾーン2」と、あなたの時計の「ゾーン2」は必ずしも同じではありません。
よくある質問
- ゾーン2の心拍数は?
- 最大心拍数または心拍予備量の60〜70%です。30歳なら最大心拍数ベースで112〜131拍/分、安静時60のカルボーネン法で136〜149拍/分。ほかの年齢や安静時心拍数では、心拍ゾーン計算で確かめてください。
- ゾーン2の心拍数はどう計算しますか?
- 最大心拍数を推定し(テストまたは田中の式 208 − 0.7 × 年齢)、安静時心拍数を測って最大から引き、心拍予備量を出します。ゾーン2は、安静時 + 予備量の60%から70%までです。
- ゾーン2でどのくらい走ればいいですか?
- エリートの持久系アスリートは練習時間の約80%を低強度で行っており、ゾーン2もそこに含まれます。市民ランナーにとっても妥当な目安で、ほとんどのランをゆっくり、週1〜2回を速めにする形です。
- ゾーン2ランニングはダイエットに効果がありますか?
- 低強度ではエネルギーに占める脂肪の割合が高くなります。ただ体重にとっては1週間の総消費カロリーのほうが重要で、それは走る量で決まります。1回あたりの消費カロリーはカロリー計算機で見積もれます。
- ゾーン2で走っていると心拍が上がっていくのはなぜ?
- 心拍ドリフトと呼ばれる現象です。同じペースでも、体温の上昇や水分の減少で時間とともに心拍が上がります。ゾーン内にとどまるには、長いランの後半でペースを落とします。